Organization ・ Establishment
組織・設立の経緯

問題背景

組織

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組織図

環テックスの組織と体制

設立の経緯

01

「環テックスBBS」発足の経緯

ダイオキシンやPCBを始めとする環境汚染物質、環境ホルモンなどの内分泌撹乱物質などに関する問題意識は、1960年代に発表されたレイチェル・カーソンの「沈黙の春」、ベトナム戦争の枯葉剤が残した悲惨な事態から世界的に広がり、1970年代から2000年代のはじめ頃までのおよそ30年間、問題解決に向けた研究が世界中で勢力的に取り組まれてきました。

そうした中、今回の「環テックスBBSの設立」に参加したメンバーのうち、高橋 (当時。高砂熱学工業株式会社総合研究所 常務執行役員総合研究所長 、現在環テックスBBS事業統括 ) を代表者として、亀山(環テックス 代表取締役)らも参加して、2002年-2003年の財団法人エンジニアリング振興協会の「ダイオキシン類汚染水質・土壌の微生物による直接浄化システムに関する調査研究調査研究」の取り組みが始まりました。その後、すでに農林水産省のダイオキシン研究プロジェクトにおいて、ダイオキシンの分解微生物や酵素機能を超高感度で検出し分析することが可能な、蛍光アナログ基質の開発に成功していた中村(当時、独立行政法人森林総合研究所チーム長)、片山(当時、東京農工大学教授)が新たに参加して、環境省の廃棄物処理等科学研究費補助金による「ダイオキシン類汚染水質・土壌のバイオリアクター構築のための研究(2004年-2007年)」、その後、2008年-2010年の環境省の環境技術開発等推進事業として行われた「ダイオキシン類汚染土壌・底質の分解酵素を用いた浄化システム」研究が取り組まれました。

これらの研究は、今回の「環テックスBBSの設立」に参加したメンバーである、高橋惇(環テックスBBS事業統括)、亀山敏治(環テックス代表取締役)、片山義博(環テックスBBS主席研究員)、中村雅哉(環テックスBBS主任研究員)とともに、保科定頼氏(当時 東京慈恵会医科大学 臨床検査医学講座准教授)、大塚祐一郎氏(当時 独立行政法人森林総合研究所 バイオマス化学領域、研究員)が参加した共同研究として取り組まれたものです。その後、2009年からは、片山(当時、東京農工大学教授)が代表者として、文部科学省の科学研究費補助金( 基盤研究 A )による研究「ダイオキシン「2378−TCDD」を標的とする持続的広域的環境修復技術の創出」が取り組まれました。

こうしたダイオキシン研究に取り組んだメンバーが中心になって、2021年4月に「環テックスBBS」を発足させ、これまでほとんど有効利用されてこなかった植物資源であるリグニンから、石油由来のプラスチックに代わって新しいバイオプラスチックを生産するため、新規バイオプラスチック原料であるPDCの大量生産と安定供給を目的として活動を開始しました。

「環テックスBBS」の新しい取り組みは、片山、中村そして長岡技術科学大学政井英司教授らが中心となって、長年取り組まれていた「リグニンの微生物分解に関する研究」を基礎として確立された技術を用いたもので、これまでほとんど有効利用されてこなかった植物資源であるリグニンから、非常にユニークな性質を持つバイオプラスチック原料「PDC」を、微生物の機能を用いて大量に安定供給することを目的として企画されました。

「環テックスBBS」は、現在の石油化学が生産しているプラスチック製品に匹敵する、あるいは石油化学製品には無い、新たな機能を備えたバイオプラスチックを生産する事に貢献する事、そのことを通して二酸化炭素の削減だけでなく石油に代わって循環生産されるバイオマス資源を基盤にした新しい産業技術の確立に貢献することを目的として発足しました。

02

2004年から2010年までの期間取り組んだ環境省プロジェクト
「ダイオキシン汚染水質・土壌のリアクター構築のための研究」の概要

研究課題:ダイオキシン類汚染土壌・底質の分解酵素を用いた浄化システムの開発

本開発では、従前の化学的や物理化学的分解、並びに超臨界水酸化法と比較して常温・常圧に近い条件で効率良くDXNを分解する微生物浄化法として、3塩素化以上のDXNに対しても浄化能力のある好気性好熱菌属のGeobacillus sp. SH2B-J2株が産生する酵素を用いたDXN汚染土壌・低質の浄化処理システムの構築を目的として実施されました。

2.1 研究成果報告書と研究発表、研究論文

  • 高橋惇:平成13年度ダイオキシン類汚染水質・土壌の微生物による直接浄化システムに関する調査研究報告書,財団法人エンジニアリング振興協会,ENAA200-プ5,1-95 (2002)
  • 高橋惇:平成14年度ダイオキシン類汚染水質・土壌の微生物による直接浄化システムに関する調査研究報告書,財団法人エンジニアリング振興協会,ENAA200-プ3,1-113 (2003)
  • 高橋惇:平成15年度廃棄物処理等科学研究 ダイオキシン類汚染水質・土壌のバイオリアクター構築のための研究報告書,環境省,K-1513, 1-93 (2004)
  • Atsushi Takahashi:A Biodegradation System Considered Localization of Polychlorinated Dioxins in Contaminated Soil and River Bottom Deposits, Organohalogen Compounds, 67, 2501-2503 (2005)
  • 高橋惇:平成16年度廃棄物処理等科学研究 ダイオキシン類汚染水質・土壌のバイオリアクター構築のための研究報告書,環境省,K-1744, 1-70 (2006)
  • 高橋惇:廃棄物処理等科学研究費補助金 ダイオキシン類汚染水質・土壌のバイオリアクター構築のための研究 総合研究報告書,環境省,1-148 (2006)
  • Atsushi Takahashi, Toshiji Kameyama, Sadayori Hoshina:Pre-treatment Method in A Biodegradation System for Removing Polychlorinated Dioxins in Contaminated Soil and Sediments, Organohalogen Compounds, 70,1086-1089 (2008)
  • 高橋惇:平成19年度環境技術開発等推進事業報告書 ダイオキシン類汚染土壌・底質の分解酵素を用いた浄化システム,環境省,1-56 (2008)
  • Atsushi Takahashi, Toshiji Kameyama, Sadayori Hoshina:Pre-treatment Method in A Biodegradation System for Removing Polychlorinated Dioxins in Contaminated Soil and Sediments, Proceedings of 12th International Waste Management and Landfill Symposium, (2009)
  • 高橋惇:平成20年度環境技術開発等推進事業報告書 ダイオキシン類汚染土壌・底質の分解酵素を用いた浄化システム,環境省,1-83 (2010)
  • 高橋惇:環境省環境研究・技術開発推進費終了研究成果報告書,環境省,1-89 (2010)
  • Atsushi Takahashi:Summary Report of Research Results under the ERTDF in FY2009, Ministry of the Environment, 175-189 (2010)
  • Atsushi Takahashi, Toshiji Kameyama, Sadayori Hoshina, Yoshihiro Katayama:Pre-treatment Method in a Bio-degradation System for extracting Poly-chlorinated Dioxins from Contaminated Soil and Sediments, Proceedings of 3th International Symposium on Energy from Biomass and Waste (2010)
  • Atsushi Takahashi, Toshiji Kameyama, Yuzoh Suzuki, Masaya Nakamura, Yuichiro Otsuka, Yoshihiro Katayama:Pre-treatment Method in a Bio-degradation System for Extracting Polychlorinated Di enzo-p-dioxins from contaminated Soil and Sediments, Proceedings of 4th International Symposium on Energy from Biomass and Waste (2012)

2.2 研究内容と研究体制

研究内容
  • SH2B-J2菌株の粗酵素によるダイオキシン類分解代謝物の特定に関する研究
    (独立行政法人森林総合研究所、東京農工大学)
  • SH2B-J2菌株の粗酵素によるダイオキシン類分解代謝物の特定に関する研究
    (独立行政法人森林総合研究所、東京農工大学)
  • SH2B-J2菌株由来のダイオキシン類分解酵素活性の強化方法に関する研究
    (東京農工大学、独立行政法人森林総合研究所)
  • SH2B-J2菌株由来のダイオキシン類分解酵素活性の強化方法に関する研究
    (東京農工大学、独立行政法人森林総合研究所)
  • ダイオキシン類汚染土壌・底質の浄化のための前処理方法に関する研究
    (高砂熱学工業株式会社)
  • SH2B-J2菌によるDIOXIN類汚染シルトの分解活性を阻害する要素に関する研究
    (東京慈恵会医科大学、環テックス株式会社、高砂熱学工業株式会社)
  • ダイオキシン類汚染土壌・底質の浄化処理に活用するフミン酸の添加効果に関する検討
    (高砂熱学工業株式会社、環テックス株式会社)
  • SH2B-J2菌株によるDIOXIN類汚染土壌の浄化に関する研究
    (環テックス株式会社、高砂熱学工業株式会社、東京慈恵会医科大学)
  • ダイオキシン類汚染土壌・底質の浄化処理に関する経済性検討
    (高砂熱学工業株式会社、環テックス株式会社)

03

2009年から2012年までの期間取り組んだ
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究 A)による研究

04

「環テックスBBSの設立」に参加したメンバーが
これまでに発表したダイオキシン研究に関する学術論文

  • Y.Suzuki, M.Nakamura, Y.Otuka, N.Suzuki, K.Ohyama, T.Kawakami, K.Sato-Izawa, R.Navarro, S.Hishiyama, K.Inoue, T.Kameyama, A.Takahashi, Y.Katayama.. “Dioxin Reductive Etherase DreE Reductive Cleaves Two Diaryl Ether Bonds of 2, 3, 7, 8-tetrachlorodibennzo-p-dioxin in Sequential Fashion”. Journal of Environmental Biotechnology, 20, 1-4, 2021.
  • Y.Suzuki, M.Nakamura, Y.Otuka, N.Suzuki, K.Ohyama, T.Kawakami, K.Sato-Izawa, R.Navarro, S.Hishiyama, K.Inoue, T.Kameyama, A.Takahashi, Y.Katayama. ” Cloning and sequencing of the Gene encoding the enzyme for the reductive cleavage of diaryl ether bonds of 2, 3,7, 8-tetrachlorobenzo –p-dioxin in Geobacillus thermodenitrificans UZO-3” Journal of Bioscience and Bioengineering.126, 2, 488-496, 2018
  • Y.Suzuki, M.Nakamura, Y.Otsuka, N.Suzuki, K.Ohyama, T.Kawakami, Y.Umeka, J.S.Maninang, K,Izawa-Sato, S.Hishiyama, K.Inoue, T.Kameyama, A.Takahashi, Y,Katayama, “2,3,7,8-TCDD degradation by the thermophilic Geobacillus sp. UZO 3” Journal of Environmental Biotechnology, 15, 105-108, 2016
  • Y.Suzuki, M.Nakamura, Y.Otsuka, T.Kawakami, K.Sato, S.Kajita, S.Hishiyama, A.Takahashi, Y.katayama “Fluorescent Assay for New Dioxin Degrading Microorganism” Organohalogen Compounds. 74, 1221-1224, 2012
  • Y.Otsuka, Y.Suzuki, M.Nakamura, T.Kawakami, K.Sato, S.Kajita, S.Hishiyama, A.Takahashi, Y.katayama “Microbial Degradation of 2,7-dichlorodibenzo-p-dioxin by Reductive Cleavage of Diaryl Ether Bonds” Organohalogen Compounds. 74, 600-604, 2012.
  • Y.Suzuki, M.Nakamura, Y.Otsuka, N.Suzuki, K.Ohyama,T.Kawakami, K.Sato, S.Kajita, S.Hishiyama, A.Takahashi, Y.katayama. ” Develpoment of Highly Sensitive Assay for Enzyme-Mediated Reductive Degradation of Polychlorinated Dibenzo-p-dioxin” Environmental Toxicology and Chemistry 31(5) 1072-1075, 2012.
  • Y.Suzuki, M.Nakamura, Y.Otsuka, N.Suzuki, K.Ohyama,T.Kawakami, K.Sato, S.Kajita, S.Hishiyama, T.Fujii, A.Takahashi, Y.katayama “Novel enzymatic activity of cell free extract from thermophilic Geobacillus sp. UZO 3 catalyzes reductive cleavage of diaryl etherbonds of 2,7-dichlorodi benzo-p-dioxin” Chemosphere, 83, 868-872, 2011
  • Y.Otsuka, M.Nakamura, S.HIishiyama, Y.Katayama, S.Hoshina. “Detection and characterization of chlorinated-dioxin ether cleavage function in the bacterium Geobacillus midousuji SH2B-J2 ” Organohalogen Compounds, l66, 1237-1242, 2004
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